head_img

中途解約、取消し、無効

クーリングオフの期間が過ぎているからといって諦めないで下さい。他にも法的な対処方法はあります。ここでは概略を紹介します。

(1)特定継続的役務提供の中途解約制度(特商法49条)
① 事業者が請求しうる額の上限
② 関連商品の取り扱い
(2)連鎖販売取引(マルチ商法)の中途解約制度(特商法40条の2)
① 商品購入の場合(2項)
② 連鎖販売業を行う者が請求しうる損害賠償額の上限(3項)
③ 商品販売契約の解除の場合の損害賠償額の上限(4項)
(3)特に特商法の取消し等について
① 不実告知・事実不告知による取消し
② 過量販売等による契約申込み撤回等
(4)取消し
① 消費者契約法上の取消し(4条)
② 詐欺による取消し(民法96条)
③ 強迫による取消し(民法96条)
④ 制限能力者の行為の取消し(民法4条、9条、12条、16条)
(5)無効
① 消費者契約法による無効(8条、9条、10条)
② 錯誤無効(民法95条)
(6)その他
① 債務不履行による契約解除(民法541条、543条)
② 担保責任による契約解除(民法570条、566条ほか)

当事務所はクーリング・オフ、中途解約等について、電話相談を無料にて承ります。1人で悩まずお気軽にどうぞ。
※ まずはこちらからご相談ください。


(1)特定継続的役務提供の中途解約制度(特商法49条)

エステティックサロン、語学教室、家庭教師・通信指導、学習塾、パソコン・ワープロ教室、結婚相手紹介サービスの6つの継続的役務提供契約については、契約期間がある程度長期になることから、クーリング・オフの期間(8日)が経過した後でも役務提供契約の期間内であれば将来に向かって自由に中途解約できます。但し、その場合にはすでに受けてしまったサービスに相当する費用など、一定の金額は消費者が負担しなければなりません。

中途解約については下記1(※事業者が請求しうる額の上限)、2の規定が適用され、これよりも消費者に不利な特約は無効とされていますので、例えば、業者独自の計算方法や契約書上の違約金の額が特商法のルールにより計算した額を上回る場合には、上回る部分は支払う必要はないことになります。

① 事業者が請求しうる額の上限

役務提供を受けた「後」の中途解約ならば、業者が消費者に請求できる金額の上限は「提供済みの役務の対価相当額」「①事業者側に通常生ずる損害額」の合計額ですから、もし、これを超える金額をあなたがすでにクレジット等で支払っている場合は、超過する部分は業者から返還してもらえます。

また、役務提供を受ける「前」の中途解約では、業者が消費者に請求できる金額の上限は「②契約の締結および履行のための通常要する費用」となっています。まとめると下記のとおりとなります。

特定継続的役務
①事業者側に通常生ずる損害額
②契約の締結および履行のための通常要する費用
エステティックサロン 「2万円」と「契約締結時の全体の価格-既に提供された役務の
対価額の10%相当額」を比較して低いほうの額

20,000円

語学教室 「5万円」と「契約締結時の全体の価格-既に提供された役務の
対価額の20%相当額」を比較して低いほうの額

15,000円

家庭教師、通信指導 「5万円」と「1ヶ月分の授業料相当額」を比較して低いほうの額

20,000円

学習塾 「2万円」と「1ヶ月分の授業料相当額」を比較して低いほうの額

11,000円

パソコン、ワープロ教室 「5万円」と「契約締結時の全体の価格-既に提供された役務の
対価額の20%相当額」を比較して低いほうの額

15,000円

結婚相手紹介サービス 「2万円」と「契約締結時の全体の価格-既に提供された役務の
対価額の20%相当額」を比較して低いほうの額

30,000円

中途解約の申出は形成権ですから、業者の同意は必要とせず意思表示により当然に効力が生じます。なお、この中途解約はクーリング・オフの場合と違い書面で通知することまでは法律上要求されていませんが、無用なトラブルを避けるために内容証明など、書面で行なったほうがよいことは言うまでもありません。

② 関連商品の取り扱い

例えば、契約するにあたって、授業に使用する書籍やエステの施術に使用する化粧品などといった商品も契約にあたって、あわせて購入しなければならないことがあります。このような商品を「関連商品」といいますが(関連商品の種類についてはこちらをご覧ください)、本体の役務提供契約がクーリング・オフされたときに限ってこの関連商品の購入契約もクーリング・オフをすることができます。

さらに、中途解約時においても本体の役務提供契約が解約されたときに限って関連商品の購入契約を解除することができます。但し、関連商品を使用していた場合などはその分に相当する金銭の負担はしなければなりません。下記の表を参照して下さい。

関連商品の引渡し「前」の解約 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
関連商品の引渡し「後」の解約 関連商品が業者に返還された場合 通常の使用料に相当する額。但し、関連商品の販売価額から、返還された商品の時価を差し引いた額が通常の使用料に相当する額を超える場合はその額
関連商品が業者に返還されない場合 関連商品の販売価格に相当する額

なお、実際には関連商品に該当する種類の商品ではあるものの、契約書上、これらを購入しなくとも役務を受けられるようになっている場合がありますから、中途解約の申出にあたっては契約書をもう一度チェックしてみてください。


ページトップに戻る


(2)連鎖販売取引(マルチ商法)の中途解約制度(特商法40条の2)

連鎖販売取引(マルチ商法)においては、クーリング・オフの期間(20日)が経過した後でも、連鎖販売契約を締結して販売組織に入会してから1年を経過していなければ、一定の条件のもとに将来に向かって自由に中途解約できます。制度概要を図示すると下記のとおりとなります。

1項
(連鎖販売契約の中途解約)
3項
(中途解約に伴う損害賠償の制限)
2項
(商品売買契約の解除)
4項
(商品販売契約の解除に伴う損害賠償の制限)
商品 連鎖販売契約
(基本部分+特定負担としての商品販売部分)の解除(*将来効)
契約の締結及び履行のために通常要する費用
+
引き渡された商品の販売価格(連鎖販売契約の一部としての販売に限り、第2項の場合を除く)
+
既に受領した特定利益その他の金品(第2項により解除された商品販売契約に係るものに限る)
①連鎖販売契約(特定負担としての商品販売部分)
+
②商品販売契約の解除(遡及効)
返還された場合及び引渡し前である場合 商品販売価格の10分の1に相当する額
返還されない場合 当該商品の販売価格に相当する額
役務 連鎖販売契約
(基本部分+特定負担としての役務提供部分)の解除(*将来効
契約の締結及び履行のために通常要する費用
+
提供済みの役務の対価


「連鎖販売取引」や「特定負担」「特定利益」等、用語の意味はこちらをご覧ください

① 商品購入の場合(2項)

連鎖販売加入者が商品を購入した場合、中途解約できる条件は下記のとおりです。

(1)連鎖販売契約を締結して販売組織に入会してから1年を経過していない者であること
本条の趣旨は取引に不慣れな個人を保護することにあります。

(2)特定負担かその後に購入したかを問わず「商品」を購入した場合であること
特定負担として加入時に購入したものであるか、その後追加的に購入する商品かを問いません。また、連鎖販売業者から購入したものか、連鎖販売業者があっせんして他業者(第三者)から購入したものかを問いません。

(3)商品の引渡し(権利の移転を含む)を受けてから、90日を経過していないこと
商品の引渡しを受けてから、90日を経過した場合は中途解約できません。また商品の引渡しがされていない場合には解除権は留保されます。

(4)中途解約できるのは連鎖販売加入者が再販売、自らの意思での使用又は消費していない部分
再販売してしまった部分についても解除を認めると法律関係が複雑になり、また自ら使用等したものについてまで解除を認めるのは妥当ではないためです。従って、連鎖販売業者が加入者に使用等を仕向けたような場合はなお、中途解約できます。同様に連鎖販売加入者の責めに帰すべき事由により、商品の全部または一部を滅失し、または毀損した場合にも中途解約は認められません。

中途解約については、下記2(※連鎖販売業を行う者が請求しうる損害賠償額の上限)、3(※商品売買契約の解除の場合の損害賠償額の上限)の規定が適用され、これよりも加入者に不利な特約は無効とされています。例えば、業者独自の計算方法や契約書上の違約金等の額が特商法のルールにより計算した額を上回る場合には、上回る部分は支払う必要はないことになります。

② 連鎖販売業を行う者が請求しうる損害賠償額の上限(3項)

(1)特定負担として購入した商品の引渡しを受けた「後」の中途解約
連鎖販売業を行う者が加入者に請求できる金額の上限は「契約の締結及び履行のために通常要する費用」「引き渡された商品の販売価格に相当する額」「提供された特定利益その他の金品に相当する額」の合計額です。

(2)特定負担にかかる役務の提供開始「後」の中途解約
連鎖販売業を行う者が加入者に請求できる金額の上限は「契約の締結および履行のための通常要する費用」「提供された役務の対価に相当する額」となっています。

③ 商品販売契約の解除の場合の損害賠償額の上限(4項)

(1)商品が返還された場合又は商品販売契約の解除が商品の引渡し「前」の場合
「当該商品の販売価格の10分の1」に相当する額です。

(2)商品が返還されない場合
「当該商品の販売価格」に相当する額です。

なお、中途解約の申出は形成権ですから、業者の同意は必要とせず意思表示により当然に効力が生じます。なお、この中途解約はクーリング・オフの場合と違い書面で通知することまでは法律上要求されていませんが、無用なトラブルを避けるために内容証明など、書面で行なったほうがよいことは言うまでもありません。


ページトップに戻る


(3)特に特商法の取消し等について

① 不実告知・事実不告知による取消し

訪問販売電話勧誘販売連鎖販売取引特定継続的役務提供業務提供誘引販売取引の5つの類型の取引において、勧誘の際に一定の重要事項について不実告知、あるいは事実不告知があった場合、これにより誤認してなされた契約の意思表示は取消すことができます(9条の3、24条の2、40条の3、49条の2、58条の2)。

不実告知・事実不告知の詳細もあわせてご覧ください

これらを理由とする契約の意思表示の取消しを主張できる期間は、「追認することができるとき(=誤認をしていたことに気付いたとき)」から6ヶ月間、「契約締結のとき」から5年間です。

② 過量販売等による契約申込み撤回等

平成20年の改正により、訪問販売により「日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える」商品等を買わされた場合、いわゆる過量販売や次々販売があった場合にも、消費者は特商法を根拠にして契約の意思表示を解除等することができるようになりました(特商法9条の2)。例えば、一人暮しの高齢者が布団を10枚購入されられた等といったケースの場合には本条を適用して契約を解除等することができます。なお、商品販売だけではなく、指定権利の販売や役務提供契約にも本条の適用があります。

この解除権は「契約締結の時」から1年間行使することができるものと規定されています(9条の2第2項)。

なお、この解除権については、①業者は損害賠償や違約金、使用利益が消費者に請求できない、②原状回復費用・商品引取費用は業者負担となる、③業者が受領した金銭は返還しなければならない、④消費者に不利な特約は無効、というクーリング・オフに関する清算ルール(9条3項~8項)が準用されています。

日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の勧誘禁止の詳細もあわせてご覧ください


ページトップに戻る


(4)取消し

① 消費者契約法上の取消し(4条)

不実告知による誤認(1項1号)断定的判断の提供による誤認(1項2号)不利益事実の不告知による誤認(2項)不退去による困惑(3項1号)退去困難による困惑(3項2号)があった場合に認められます。

これらを理由とする契約の意思表示の取消しを主張できる期間は、「追認することができるとき(=誤認していたことに気付いたとき、困惑を脱したとき)から6ヶ月間、「契約のとき」から5年間です。

② 詐欺による取消し(民法96条)

詐欺とは「騙す」ことですが、騙されて契約した場合には取消しを主張することができます。

詐欺による契約の意思表示の取消しを主張できる期間は、「追認することができるとき(=詐欺にかかったことを知ったとき)」から5年間、「意思表示のとき」から20年間です。

③ 強迫による取消し(民法96条)

強迫とは「脅す」ことですが、脅かされて契約した場合には取消しを主張することができます。さらに、恐怖のあまり意思の自由を完全に失った状態で行なわれた契約の意思表示は無効となります。

強迫による契約の意思表示の取消しを主張できる期間は、「追認することができるとき(=強迫が止んだとき)」から5年間、「意思表示のとき」から20年間です。

④ 制限能力者の行為の取消し(民法4条、9条、12条、16条)

制限能力者とは未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人のことです。これらの者の行為は本人自ら、あるいは法定代理人など一定の取消権者が取消すことができます。例えば、未成年者が父母や後見人の同意を得ないでした意思表示は未成年者が自ら、あるいは父母や後見人が取消すことができます。

本人自ら制限能力者であることを理由にした取消しを主張できる期間は「追認することができる(=能力者になった後に自己のした行為を了知したとき)」から5年間、「意思表示のとき」から20年間です。


ページトップに戻る


(5)無効

① 消費者契約法による無効(8条、9条、10条)

消費者契約法では、事業者の債務不履行による賠償責任を免除するといった、消費者にとって著しく不利な一定の条項を無効としています。詳しくは消費者契約法のページの該当箇所をどうぞ。

② 錯誤無効(民法95条)

錯誤とは「表示に対応する意思がなく、しかもそのことに表意者自身が気付いていないこと」と説明されますが、要するに「勘違い」のことです。一般人を基準として、もし、そのような勘違いがなければそのような意思表示をしなかったと考えられるような場合には、要素(重要部分)に錯誤があり、その意思表示は無効となります。


ページトップに戻る


(6)その他

① 債務不履行による契約解除(民法541条、543条)

履行期に履行が可能であるのに事業者側の責任で履行期を過ぎても履行されなかった場合には、相当の猶予期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がなければ契約を解除できます。また、履行自体が不能である場合には催告せずに契約を解除することができます。

② 担保責任による契約解除(民法570条、566条ほか)

売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があり、そのことを知らず、かつ知らなかったことに過失がない買主は、瑕疵があることにより契約の目的を達することができない場合には売買契約を解除することができます。

この権利は瑕疵を知ったときから1年以内に行使することができます。なお、請負契約に関して、それが建物その他土地の工作物の建築工事である場合、瑕疵が重大で契約の目的が達成できないようなときでも契約の解除はできないものとされています(民法635条但書)。


ページトップに戻る


point111 お問い合わせは今すぐに!
電話番号 03-6231-3926
メールフォーム こちらからどうぞ!
直通メール cuoreoffice@nifty.com


免責条項

当サイトに掲載する情報については細心の注意を払って掲載しておりますが、その内容の正確性、安全性等については保証いたしかねます。掲載情報により利用者が下した判断並びに行動により生じた結果については、当事務所はその責任を負うものではありませんのであらかじめご了承ください。


ページトップに戻る